以前、震電のジェット化が難しい旨を書いた。それよりは、液冷エンジンを搭載するほうがなんぼかマシかな、と妄想。まあ、日本の技術で液冷エンジンに期待はできないだろうと思うが、妄想の前提として、なんらかの理由(アメリカあたりと同盟しているとか)で液冷エンジン自体は容易に利用できるものとする。
まず液冷にすると、エンジン冷却に伴う問題がおおむね解消できる。史実の震電は機体側面のエアインテイクから吸気して空冷エンジンを冷却していたが、実用化されればきっとここで問題が生じていたに違いない。
また、エンジンの背が低くできるので、後方視界確保が容易になるだろう。いくら迎撃機といえ、視界が良いにこしたことはない。
さらに、倒立V型ならプロペラの位置を少し上にもってくることもできる。あの長すぎる脚を短縮できるかもしれない。とはいえ、重心と推力線をあまりずらす訳にもいかないから、それほど極端な改善にはならないだろうが。
だが、ちょっと絵を描くと無理も見えてくる。
液冷エンジンの全長が長くなるため、プロペラの位置が後退する。離着陸時の機首上げを考えれば、脚を延長する必要がある。ただでさえ長い脚を延ばすのはなんともまずい。
では、エンジンとコクピットをもう少し前よりにずらすか。だが、そうすると主翼の桁の上にエンジンが乗ることになる。これではエンジン下面の整備・調整ができない。いっそ昨今のAFVみたいにパワーユニットをレールに載せて、引き出せるようにするか。しかし、ちょっといじるためにいちいち引き出すというのも非現実的だろう。レールの強度や重量もネックになる。
では、主翼ももう少し前進させて、代わりに後退角を強めるか。いや、震電の場合垂直尾翼が主翼の中程にある。少しばかり後退角を強めても間に合わない。かといってMig17なみの後退角ってのも無茶だろう。
ならば垂直尾翼を主翼の端にもってくるか。これなら垂直尾翼は十分後ろにもってこられる。だが、複合素材もない時代にそんなことができるか。おまけに垂直尾翼下端には補助輪をつける必要がある。強度的に無理がありそうだ。
うーん、いっそ脚を自転車式にしてしまうか。これなら補助輪はいらなくなる…あ、液冷エンジンの真下に頑丈な脚を収めなきゃいけない。これじゃまたエンジンの整備が困難だ。
ええい、ならば機体後半とプロペラシャフトを延長しよう。<プファイル>の後ろ半分みたいなレイアウトにすればなんとかなる。でも、これじゃ「機体をコンパクトにできる」ってエンテ形式の意味がない…。
という訳で、諸外国が震電みたいなレイアウトを選ばなかった理由を確認できたような気がします(バカ)。
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