985年はファーティマ朝第6代カリフ、ハーキムの生年。
即位時は宰相バルジャワーンによって監禁されていたものの、自らこれを刺殺、権力を自らの物とした。
学芸の保護、版図の拡大、そしてイスマイール派の拡大に尽力した公正な名君とされている。しかしその一方、冷酷で奇矯な振る舞いも多く示した暴君でもあった。
彼は飲酒はおろか歌舞音曲すら禁じ、禁を破る者には厳しい刑罰で応えた。また、ユダヤ教徒やキリスト教徒にも厳しく対応し、財産没収や教会の破壊も繰り返された。
だが、イスマイール派の信仰を厳密に適用したこともあってか、彼は一部から神格化すらされる。にも関わらず彼はきまぐれのように厳しい禁令を発し、自らはみすぼらしい姿でカイロの夜を徘徊する日々を送っていたという。
そしてある夜、彼は不意に姿を消す。短剣の傷跡が残された彼の衣類が発見されたものの、彼自身をその後目にした者は一人もいない。
彼を神格視していた者たちは、これを死と受け止めず「自ら『お隠れ』になった」と考えた。そしていつか救世主としてハーキムが再臨するとすら説く。
彼らこそが、今日まで続く分派、ドゥルーズ派の始まりである。
最初っから最後まで(というか、信者にとっては現在進行形なのだろうが)人騒がせな人だなあ、などとのんきなことを言いつつ、今日はターゲットタエボーの胸&肩、二頭筋&三頭筋、および背中。
他人に欠片ほども影響を及ぼせぬ我が身を振り返ると、当たり前ながら差の大きさに押しつぶされそうになる。
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