野党陣営は25日、キエフ「独立広場」に集結した支持者を前に「6か条指令」を発表し、「人民権力の再興」との表現により革命始動を宣言。先に創設した「救国委員会」にユシチェンコ氏を長とする臨時革命政府の機能を与え、選対委員長アレクサンドル・ジムチェンコ氏を長に内閣「執行委員会」を創設するよう命令した。さらに、「国内の法的秩序保持」のため、治安軍「ウクライナ親衛隊」を発足させる、とした。
えらいことになってきたな。
しかし、これまで野党側を支持してきたアメリカやEUも、臨時革命政府となるとどうだろう?
革命政府支持となればロシアとの対立は避けられず、東欧や中央アジアの安定が損なわれかねない。ウクライナは黒海にも面しているから、エネルギー資源への影響も大きかろう。
ウクライナ与党およびロシアを懐柔し、軟着陸に持ち込めればよいのだが。
第一に、大統領選挙の結果を不法と宣言したことは、すなわち現政権を違法の簒奪政権と認定したことに等しいので、ユシチェンコ派は「革命」を決行する事実上のゴーサインを既に西側から得ていると考えられる。
第二に、西側がユシチェンコを自信をもって強力に推すのは、彼が単なる「改革派」の一人ではなく、左派から中央までの幅広い支持基盤を持ち、また元中央銀行総裁として官僚機構や財界にも強力なつながりを持っていることによる。対する現政権側は決して一枚岩ではなく、旧体制以来の権益集団を中心とした寄り合い所帯であり、ロシアの後押しによってようやく一体性を保っているに過ぎないこと。
第三に、ユシチェンコは実力による奪権を示唆しつつ、実際には明らかにその支持層と人脈を駆使した現政権の切り崩しによる「ソフトランディング」を目指し、既にその手法により中央行政とマスメディアの相当部分を手中に収めていること。とりわけポーランド革命の英雄ワレサを調停者として招いたことは、内外の世論に大きな影響を与える賢明な策。
以上のようなことから、西側の支援を受けたユシチェンコ派がこのまま政権を獲得し、選挙やり直しの宣言を行うというシナリオが実現する可能性が濃いように思われます。
これは単純な親露・親西側という図式ではなく、ウクライナの権力中枢から旧体制色を一掃し、自由経済と民主政(たぶんこの順位で)の定着によってこの国をグローバル経済圏に取り込もうという戦略的な企図(対するロシアとしては、政治的軍事的に緊密に連携したブロック経済圏にウクライナを留まらせようという企図)が背景にあると言えるでしょう。
現政権の武力行使は既に時期を失し、その実行はただちに政権の崩壊につながるでしょう。同様にロシアによる武力介入も、たとえ軍事的に奏功したとしても、ウクライナ人のナショナリズムに点火して中立勢力までをもユシチェンコ派に走らせてしまう結果に陥る公算が大と思われます。
投稿情報: ばべる | 2004-11-26 14:38
今年、ユシチェンコが危うく毒殺されかかったことは、何故か日本では報道されませんね。
投稿情報: ばべる | 2004-11-26 14:40