中日新聞より。
佐世保基地は水深が浅く、岸壁が狭いこと、また本格的な補修施設がないことから母港化は不可能だが、必要時には沖合に停泊し、艦載機約七十機と一部乗員は岩国基地に向かうことが検討されている。
岩国基地は滑走路の沖合移設工事が進み、二〇〇八年度には現在の五百十一ヘクタールが七百八十四ヘクタールに拡張される。基地近くには埋め立て用土砂を供給するため切り崩され、広大な宅地となる愛宕山地区がある。
沖合移設後は、神奈川・厚木基地に所属するキティホーク艦載機による夜間離着陸訓練(NLP)の硫黄島からの移転が検討されており、新たに米軍住宅が建設されればNLP用の宿舎としても利用可能になる。
正規空母の兵站は、おそらく私には想像もつかないほど複雑かつ大規模なのだろう。
一時寄港地プラスアルファ程度の役割を持たせるだけでも、多大な努力が求められるに違いない。
そして、地元にも大きな負担がかかることであろう。
沖縄などとあわせ、日本政府は十分な対応をとって欲しい。国益のためとはいえ、一部地域の方々に負担が集中するのはけっしていいことではないのだから。
>一部地域の方々に負担が集中するのはけっしていいことではない
まったく同意ですが、占領統治時代に有無を言わさず基地を押し付けられた沖縄と違い、今は国と地元との交渉が不可欠なわけで、難しいことです。
経済の活性化のために空母基地を誘致したい自治体も出てくるかも知れませんが、港湾を浚渫し、岸壁や船渠やその他支援施設を新たに造る費用を考えると…
本気で空母打撃群2個を前方展開しようとするなら、横須賀の既存施設を拡充するのがいちばん現実的かも知れません。
ところでこの記事も含めて、何故太平洋で空母群2個を前方展開するのか、できるのかの肝心の背景が日本のメディアではまったく説明されていません。
「サマー・パルス04」で成功した新しい艦隊即応計画(FRP)のおかげで、同時作戦行動可能な空母群が従来の2個から6+2個に増加したことで、前方への戦力集中の余裕が生まれ、ひいては11隻体制への縮減という話も出てきているのですが…
要するに、アメリカの空母戦力は湾岸戦争当時と比べて事実上3倍増になっているということで(弾は3倍になっていませんが)。
投稿情報: ばべる | 2005-05-06 03:13
>新たに造る費用
建設ゼネコンが「箱物や道路・鉄道に代わる新たな金儲け」として積極的に働きかけるってことはないでしょうかね。
それはそれで個人的には不快な話ですけど。
>肝心の背景
北朝鮮をはじめとするいくつかの国への不安感が、国民の中に共有されているということではないでしょうか。
それゆえに、空母という巨大な力が身近に増えることに、「疑問・疑念」ではなく「心強さ・安心」を感じているのではないかと。
人間、自らが安心した理由についてはあまり言葉にしないものですし。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2005-05-07 08:14
>新たな金儲け
それで造られたものが本当に役に立つものならば、市場経済の中の公共投資ということでまあよしだと思いますが、実は役に立たないものばかり造ってきたことがようやくバレつつあるのが現在の状況で。
戦争の影響もあって、道路舗装率も下水道普及率も他の先進国より随分立ち遅れているのは確かですが、機能的で公正なチェック&バランス機構なくして幾ら資金を投入してもダメダメ。ちょっと話が逸れましたが(w
>肝心の背景
在沖縄兵力の撤収に要求するのも、逆に米軍の極東へのコミットメントを増すように要求するのも、共に各論的には至極もっともな意見なのですが、それらを総体的に、つまり米軍の「トランスフォーメション」とはいったい何であって、それは長期的に日本と極東にどのように影響してくるのか、という論が日本の主要メディアにまったく欠けているのは大きな問題ではないかと。
そういう視座を持たずして、政府の個別の政策にやれ反対やれ反対と言ってみたところで、それこそ安物買いの銭失い的な思考を読者=有権者に植え付けるだけで。
投稿情報: ばべる | 2005-05-07 10:39