「世界のイスラーム建築」で興味深く思ったのは、ワクフと呼ばれる寄進制度についての記述。
資産家がモスクや神学校を寄進するというのは知っていたが、その際いっしょに利益を生む資産(商店街とか農地とか)を提供するのが決まりだとのこと。
モスクや神学校などが利益を生まないのだから、それらを永続させるためには利益を生む資産とセットにするという考えらしい。
結婚にあたって離婚時を見据えた取り決めを義務づけたりとか、人間に対するドライでかつやさしい感覚には感心させられる。
さて、利益を生まないが公共の福祉において必要とされる案件は国内でも数多くある。
多くの場合、それらは税金で補填されることによってどうにか維持されている。
赤字続きで第3セクター化される公共交通機関など、例は数え切れないほどあろう。
しかしながら、それらが長期間維持できるかは怪しいところだ。
税金による維持は市民の理解を得にくいし、またそれを利用するハイエナも少なくない。
そこで、ワクフの考え方を公共福祉施設にあてはめてはどうだろうか。
例えば、地域巡回バスや老人介護施設とショッピングセンターを同一法人にする。
出店許可の条件として定めてもよかろうし、多少の税制優遇措置があってもいいだろう。
これなら地域住民の理解も得やすいし、税金に寄生する輩を廃することも可能だ。
地域の福祉と経済活性化を結びつける、よい策だと思うのだが。
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