「ローマ人の物語」2巻のあとがきにおいて、塩野女史が以下のように述べている。
つまり、興隆は当事者たちの精神が健全であったからであり、衰退はそれが堕落したからだとする論法には納得できないのだ。
それよりも私は、興隆の因は当事者たちがつくりあげたシステムにあると考える。
なぜなら、人間の気分ほど動揺しやすいものはなく、気分を一新してくださいなどと説いても、なかなか全員で一新できるものではない。一新するには、一新せざるをえないようにする、つまりシステム化してしまうしかないと思うからである。
会社の成功・不成功もまた、これと同じ側面を持つと私は考える(むろん、「商いとして成り立つ」という大前提に勝るとは考えない)。
ここで言われている「気分」を会社の構成員に当てはめるなら「姿勢・目的意識・価値観」というところだろう。
優れて統一性のあるそれらを有する会社は成功し、それらのベクトルをとりまとめることのできなかった会社は失敗する。
優れたカリスマに指導されることによってそれらを共有することもありえるが、それらがシステム化されない限り一時的な成功に終わる。なぜなら「人間の気分ほど動揺しやすいものはな」いからだ。
そして現在、システム化するための手段としてグループウェアなり社内ブログなりが存在する。
それらによる情報共有・意識共有のサイクルをどう駆動していくか。
歴史はやはり、キーパーソンの率先垂範とシステム化こそが鍵だと示しているように思えるのだが。
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