CNET Japan「『これを読めばすべてわかるっていうブログはないんか?』」および、メッセージ。「『これを読めばすべてわかるっていうブログはないんか?』」より。
まず、「すべて」を求める心性がよくわからない。
おそらくたいていは、「ブログ界の」「論断の」「経済界の」という限定があるのだろう。だがそれでも、すべてを網羅することなどできる訳がない。
かつてそれができていたように思えたのは、情報発信源が限定されており、かつその組み合わせが単純だったからではないか。しかし今や、その状況は失われた。冷戦終結からこっち、世界は多極化し、価値観も多元化の色を強めた(当然それ以前にも世界は単純ではなかったろうが、それを被うレイヤーが存在していた)。
今日できるのは、紙を漉くかのように世界の断片を少しずつ(かつ不安定なまま)つなぎ合わせていくことぐらいだろう。
つぎに、「わか」りたいという気持ちが理解できない。
これは私がたわけだからかもしれないが、ささいな一事をとっても「わかった」などと言えることはめったにない。たいていはわかったような気がしただけで、皮相的な部分を把握したり、自らに都合の良いとらえ方をしているにすぎない。そもそもそんなに簡単に「わか」りえるなら、専門家などこの世にいるはずもないではないか。
もしかつて「わか」ったつもりでいたのだとしたら、それは他の人が咀嚼した結果をただ受け取っていたのにすぎない。それは「ポータル経由でわかった」のではなく、その人自身が実体のないポータルとしての地位に安住していたというだけだ。直接的なアプローチが可能な今日、そのような「ポータル」に意義があるとは思えない。
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