アビアB534はチェコスロバキア共和国の戦闘機。
1933年に原型が完成し、当時のイギリス空軍が使用していたプリストル<ブルドッグ>よりも85km/hも速いと評判になった。
また、1937年にチューリッヒにおいて行われた国際飛行大会ではメッサーシュミットMe109に迫る性能を示したとされる。
だがこの戦闘機、なんと複葉だった。
構造は基本的に鋼管羽布張りだが、胴体前部のみは金属張りとされた。主翼も複葉ながら支柱の少ないスマートな設計となっている。またエンジンは850hpのイスパノスイザ12Ydrsで、当時としては水準以上の出力だった。そのためか、冷却器はやや大ぶりで、主翼直下に設けられている。固定脚もその付近から張り出していた。
武装は7.7mmを4丁有していた。これらは機首両側面にそれぞれ2丁ずつとユニークな配置がなされている。
なかなか興味深いB534だが、残念ながらチェコスロバキア共和国のために戦うことはなかった。
1938年のミュンヘン協定において国土の1/3をドイツに奪われ、翌1939年にはスロバキア共和国がドイツの保護国として独立した。さらにヒトラーはチェコスロバキアに併合要請文への署名を求め、恫喝した。満身創痍のチェコスロバキア政府にそれを拒む力はなく、ここにチェコスロバキアは消滅した。
ドイツへの屈服をよしとしない将兵はフランスやポーランド、あるいはイギリスへと亡命していったが、B534とともに逃亡した者はいなかったようだ。
多数のB534はドイツに接収されたが、その大半はスロバキア空軍に引き渡されている。ドイツ軍自体もウクライナ方面などで短期間使用したが、まもなくMe109にて更新されたようだ。
またブルガリアにも供与されたが、これまたドイツが鹵獲したドボアチンD520で更新されている。
B534は、祖国防衛のために開発されながら、不運にも傀儡政権軍の先兵となってしまった。まこと、世界は皮肉に満ちている。
などと偉そうにのたまいながら、今日はTAEBO T3 トランスフォーメーション(エクスプレス)。皮肉には慣れっこだが、好きで慣れている訳じゃないんだよ、ホント。
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