トルコのエルドアン首相は10日、多数の死傷者が出た中国新疆ウイグル自治区での暴動について、「一種のジェノサイド(集団殺害)だ」と述べ、中国政府を「事態を傍観している」と批判した。
[From 「一種の集団殺害」トルコ首相、ウイグル暴動で批判 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)]
国際的地位において優越している訳でもないトルコが、あえて他国に先駆けて中国への批判を口にする。
トゥラニズム、あるいは大トルコ主義が生きているのだろうか。
私がイスタンブールの町並みから得た印象は、まったくヨーロッパ的だった。だが同時に、イスラームとして欧米への同化を良しとせぬ空気も感じられた(イスタンブールを訪れたのは、イラク戦争直前だった)。
そして町ゆく人々の顔立ちは、かつての広大な版図を反映しているかのように多様だった。
にも関わらず、共和国の枠組みを超え、あるいはそこに内包する民族すら超え、はるか東トルキスタンの「同胞」への共感を示しているのだろうか。
それとも、非アラブ系・非ペルシャ系のイスラームとして、ウイグルへの親近感を抱いているのだろうか。
さすがに「ウラル・アルタイ語族」までは言い出したりしないとは思うのだが。
エルドアンは神学校出身のイスラム主義者ですから、これはムスリムとしての連帯を詠ったコメントですね。
世俗主義、トルコ国民主義の担い手である国軍は、よって現政権と激しく対立を続けています。これは、中南米にありがちの文民統制や軍事独裁という問題を超えた、ケマル・アタチュルク以来のトルコ固有の国制の特徴です。
>イスタンブールの町並みから得た印象は
最近では少しは変わってきたかも知れませんが、トルコの都市と農村はまったく別の世界です。
オスマン朝の急速な衰退の遠因の一つはデヴシルメ制度停止後のこの都市と農村の乖離にあったとされていますし、近年ではパフレヴィ朝の崩壊を起こしたのがまさにこの問題でした。
投稿情報: ばべる | 2009-07-15 04:09
>イスラム主義者
最近はアルカイダの皆さんもウイグルの件で怒っているみたいですしね。ウイグルに人たちにとってはありがた迷惑かもしれませんが。
>乖離
アメリカやロシアでも格差はずいぶんあるようですから、経済よりも価値観のずれが問題になるのかもしれませんね。
となると中国はナショナリズムの旗を降り続けるしかないんですかね。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2009-07-19 07:52