岸田秀氏による史的唯幻論は、極めて興味深い。
その唱えるところの多くについて、私も賛同する。
しかしながら、氏の著作には地政学や社会学的な見地からの見方が不足しているように感じられる。
そのため、歴史や社会を自分に都合よく解釈しているような印象が否めない。
また、氏の主張するところの「多様性の容認」についても疑問がある。
国も歴史も共同幻想であるなら、その中において「互いの価値観(幻想)を否定しない」ということが成り立ち得るのだろうか?
例えば断食中のムスリムが、飲食する外国人をとがめずにいられるだろうか?
「共同幻想を維持する」という制限の下でのみ、「多様性の容認」が成り立つのではなかろうか。
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