12日付の台湾紙「中国時報」は、台湾当局が自主開発の巡航ミサイル「雄風2E」の配備を台湾本島内で既に始めていると報じた。
国防部が、台湾初の戦略ミサイル部隊となる「ミサイル司令部第一中隊」を新設して配備を進めているといい、台湾を標的にした中国の短距離弾道ミサイル発射基地に対する攻撃を想定したものと見られる。
核弾頭ってことはないから、よほどの精度でないと敵基地を狙ってもたいした効果は得られまい。
また、短距離弾道弾なら車載されて移動することも考えられよう。
イスラエルのように核保有の噂でも流して、中国側に攻撃を躊躇させるつもりだろうか。
あくまで反撃用というしばりのもと、米軍から精密な目標データを得られる目処でもあるのだろうか。
この記事には明らかな偽りはありませんが、ある政治的意図の下で注意深く書かれている印象を強く受けました。
第一に、雄風2Eは中射程対艦ミサイル雄風2を拡大発展させた対地打撃用巡航ミサイルで、最大射程は1000kmに延伸されていると言われていますが、終末誘導装置の開発に大きな問題が残されており、実戦化は数年先のことだろうと観測されています。
記事が述べているのは、2005年開始予定の先行小規模量産のことでしょう。つまりこのミサイルはまだ試験段階の兵器なのです。
第二に、雄風2Eは精密打撃兵器というよりは恐らく中国の弾道ミサイルに対抗する抑止力として考えられており、その標的は都市や港湾、インフラでしょう。上に挙げた終末誘導装置の問題を考えれば、少なくとも現時点において、中国軍の機動式ミサイル発射機をこれで叩けるはずはありません。
つまりこの記事は、台湾が中国のミサイル脅威への対抗手段を整えつつあることをアピールしているのですが、大衆に対してはそれをあくまで防御的な手段として説明する一方で、中国政府と軍に対してはそれが攻撃的な、つまりいざと言う時には核装備の可能な強力な抑止力であることを無言のうちに示している、のではないかと考えます。
その意味で、まったくおっしゃる通りでしょう。
投稿情報: ばべる | 2005-08-14 04:26
ちなみにミサイル・コマンドとは、昨年1月に編成された新しい部隊で、それまでの陸軍の防空ミサイル部隊と海軍の沿岸防御用対艦ミサイル部隊とを統合したものです。
投稿情報: ばべる | 2005-08-14 04:30