金沢でおこなわれたSF大会に、みやかわ氏と私で参加したことを思い出す。
いや別に「センセ」として招かれた訳ではないので、なんともこっぱずかしいことだ。
一参加者扱いだった私たちは、SFとメディアミックスに関する企画を見ていた。
小説とRPG、アニメとゲーム、そんな多角的展開は、おそらく当時が始まりだったのだろう。
席上、今は亡きT氏がネット88やネット90を「同人誌みたいなの」とあっさり切り捨てたのには閉口させられた(同人誌という表現が必ずしもネガティブな意味だけではないと思えるようになったのは最近だ)。
それ以上に眉をしかめたのは、メディアミックスの意義について「儲かるから」という以上の言葉を聞けなかったことだ。
たしかその夜、みやかわ氏と飲みながらその件につきくだを巻いた。私はこんなことを言ったと思う。
「たとえば『冷たい方程式』。あれをテーブルトークRPGで演じたらどれほどのインプレッションがあるか。小説上での『やむを得ない選択』ではなく、『自らが下さねばならぬ決断』。これにはどれほど優れた小説家の筆をもってしても及ぶまい」
その認識は、今も変わらず私の内にある。
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