このミサイルは、艦上から発射し魚雷のように水中を進んで敵の艦船を攻撃する。革命防衛隊海上部隊のファタビ副司令官は、「このミサイルは、秒速100メートルで世界最速」と語った。仮にソナー(音響探知機)で探知できても回避するのは困難という。同様のミサイルはロシアが配備している。
あからさまにロシアのシクヴァルですねえ。
浅く狭いペルシャ湾にシクヴァル搭載の潜水艦がひそむとなると、ちょいと手間かも。
運用をペルシャ湾に限定するなら、魚雷艇(!)に搭載する手もありそう。夜の闇に乗じ、地対艦ミサイルとシクヴァル搭載魚雷艇でアメリカ艦艇に同時攻撃…ひょっとすると成功するかもしれないけど、魚雷艇の運命は自爆ボートと大してかわらんか。
イランのTVで放映されたホートの試射シーン
http://news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/060403/photos_wl_me_afp/db93d907212eadfbe87d6d63fc7ab728
シュクヴァルVAはもともと潜水艦の空母群肉迫攻撃用の武器で、しかも核弾頭標準搭載です。冷戦後期の中~長射程巡航ミサイルに代わって、このような乱暴のコンセプトの武器が考え出されるに至った事実自体が、冷戦末期において開く一方だった米ソの海軍力の優劣の差を端的に現していたと言えるかも知れません。
現在、中国もまた同種の武器を空母攻撃用に整備しつつあると伝えられるのも、似たような状況の帰結と言えるでしょう。
イランのこの水中ミサイル「ホート」は水上艦艇をプラットフォームとするようですが、イランが高度な水中レーザー技術を獲得したという話は聞かないので、当然、これは無誘導でしょう。
だとすれば命中を期するには標的から3000~5000m以内に踏み込まなければならず、戦術上は普通の魚雷とさして変わりありません。有力なエアカバーを持つ部隊に小型艇が肉迫するのは言うまでもなく不可能なので、現実的な目標は単艦のフリゲートや駆逐艦(しかも奇襲的用法)に限られることになるでしょう。
以上を考えると、少なくとも水上戦闘でのみ用いられる場合、費用対効果が長魚雷より優れているとはとうてい考えにくいです。
しかしアメリカ軍にとってみれば、タンカー戦争でのイラン小型艇との近接戦闘で相当の損害を被った戦訓から、イラン軍がこの分野での戦闘力の向上に努めているのは決して歓迎できないはずです。アメリカ軍の最終的な解答はLCS(沿海戦闘艇)ですが、LCSが実用化するまでのギャップは恐らくヘリコプター戦力の強化で補われるのではないでしょうか。
投稿情報: ばべる | 2006-04-05 11:35
ここで日本が酸素魚雷の技術を輸出ですよ!(ないない)
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2006-04-05 12:46
本当に物騒なイランの沿海戦用武器
革命防衛隊の(?)滬東型ミサイル艇(シルクワーム×2)
http://news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/060403/481/xhs10304030926
コマール型の中国式発展版。
アメリカは当然既にシルクワームの実弾を入手して研究しているはずですから、警戒直以上の状態で撃たれても十分にECMで対処できるはずですが、島嶼の陰や陸岸のクラッターの中などから不意に撃たれると危ないかも。
投稿情報: ばべる | 2006-04-05 16:44