中日新聞より。
独立国家共同体(CIS)集団安全保障条約のボルジュジャ事務局長は24日、ミンスクで6月に開催されるロシアなど旧ソ連圏の条約加盟6カ国による首脳会議で、域外の紛争地域などへの派遣を想定した平和維持軍の創設を決定する方針を明らかにした。
ヘイワイジグン! ステキすぎる響きです。
でも、神戸新聞などで報じられているこっちとの関係は?
旧ソ連諸国でつくる独立国家共同体(CIS)のうち親欧米路線を取るグルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバの4カ国の大統領が23日、キエフで首脳会議を開き、事実上の反ロシア連合といえる新たな地域機構「民主主義と経済発展のための機構GUAM」創設で合意した。
なんだか怪しくなってきましたねえ。
ロシアは最近、地下資源などを武器に有利な地位を得ようとしているようだが、はたしてアメリカはそれを座視するのか? それともGUAM4カ国を後押しして、ロシアに釘をさすのか?
チェチェン戦線に志願した兵士たちに自腹で小銃を買わせている有様のロシア軍に、決定的に欠けているものは外征能力です。つまり「域外の紛争地域などへの派遣」など実際には画餅に過ぎないわけで、もしもウクライナ侵攻という事態が起こった場合は、キエフまでの道のりで大半の戦闘車輌が行動不能となるでしょう。
例えば、新しい論稿「米国の対中戦計画」の冒頭でW・アーキン氏は、現在の米国の軍事戦略ではロシアは既に主敵でなくなっているにもかかわらず、米国はロシアを戦略的に包囲し、強圧を加えつづけている、と述べています。
http://blog.washingtonpost.com/earlywarning/2006/05/americas_new_china_war_plan.html
その通りだと思います。
このことから考えれば、ロシアの最近の諸政策は自衛的な性格なものであって、戦略的に攻める立場にあるアメリカがただちに目立った反応を見せることはたぶんないでしょう。
投稿情報: ばべる | 2006-05-26 18:37
直接的なアクションは、ご指摘の通りないのでしょうね。
しかし、「GUAMを支持する」というポーズを示す可能性はどうでしょう。
その逆に、ロシアとGUAMの仲裁に入ることも十分考えられますが。
ロシアの民主主義が不十分? いやそれは必殺ダブルスタンダードで。
ロシアと中国の関係が良好ですから、日本としてはロシアを「「こっち側」につけるのは難しいですよね。
ならばいっそ、日本はGUAMを味方につけてはどうかとも思うのですが。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2006-05-27 10:42
市場としては比較的小規模なGUAMの政治的な重みは、資源という切り札あってこそ。つまり今回のGUAMの(ロシア資源のオルタナティヴとしての)強化再編の鍵を握り、全ての権益の焦点であるのはウクライナではなく、アゼルバイジャンということです。
アゼルバイジャンと言えば、
1 旧ソ連圏最大のエネルギー資源地帯
2 精悍で誇り高い民族性
3 旧ソ連崩壊から現在まで続く激しい民族紛争
4 旧ソ連体制下で押さえ込まれてきたシーア派信仰
5 資源量に比べて低水準の国民生活
6 強権的な統治(GUAMの「理念」には反する)
7 ロシアとイランに国境を接する地政学的環境
8 親ロシア政策と西側資本導入をめぐる駆け引き
「レッドストーム作戦発動」で第3次大戦の発火点となったのは他でもないここでした。
このように敏感で火薬庫への短兵急な干渉や介入は、グローバルな危機を招きかねません。
一方、日本がこの地域にどんな人的経済的地歩を築いているかと言うと、
ttp://www.mofa.go.jp/mofaj/area/azerbaijan/data.html
…何もありません。
少なくとも現状では、諸勢力の角逐や押し寄せる欧州資本をかきわけて、カスピ海に手を出すことは避けるべきではないかと思われます。
イランだけで手一杯です。
投稿情報: ばべる | 2006-05-27 14:20