Strv.103は俗にSタンクと呼ばれる。中立国スウェーデンの主力戦車だったが、他国のそれらとはあまりに違う。というのも、この戦車には砲塔がないのだ。
砲は車体に固定されている。油気圧サスペンションで上下の角度を調整し、超信地旋回して砲を敵へと向ける。つまり、機動しながら敵を狙うことは事実上不可能な設計だ。戦車を「最大の格闘兵器」ととらえるなら、あきらかな逸脱である。
Sタンクは乗員構成においても極めてユニークだ。先のような方法で照準するため、操縦手が砲手を兼ねる。車長が乗員すべてを指揮するのは他の戦車と同様だが、残るは無線手のみだ。砲が車体に固定されているので、シンプルな自動装填装置が装填手の代わりを務めている。
そして無線手は、後部操縦手を兼ねている。わざわざ後ろ向きに走るための操縦システムをこの戦車は有しているのだ。
ここから、この戦車が何を得手としているかがわかる。待ち伏せ、だ。襲いかかる大軍を引き寄せて射抜き、敵がうろたえているうちに素早く後退。そして新たな伏撃の地に身を潜め、新たな襲撃のチャンスを待つ。
それを戦車と呼んで良いのかは疑問が残る。また、汎用性に欠けるのは明らかで、事実スウェーデンでも退役し、その後継は一般的な構造のStrv.122(ドイツのレオパルド2A5をベースとした車両)となった。
だが、強大な仮想敵国(ソ連)と地続きに接する小国が有すべき「主力」とは、やはりSタンクではなかったか。私にはそう思えてならない。
そんな訳で、今日も奇妙なポーズを繰り返す腹筋プログラム。脂肪の大軍に立ち向かう主力とするには、我が腹筋は今ひとつだなー。
初弾命中率の向上で交戦時間が短くなっている昨今、先制攻撃ならともかく、撃たれた場合の応射に時間のかかる突撃砲型戦車の不利は大きくなる一方ではないかと思います。
投稿情報: ばべる | 2007-05-23 04:27
おっしゃるとおりですね。
ただ「あの時代における対応としては、Sタンクで正しかった」んじゃないかと愚考します。
いつも言葉足らずですいません。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2007-05-23 12:44
汎用性の点では、対戦車兵器の発達も突撃砲型戦車に不利に働いていると思います。
守りに回っている戦車は(種類にかかわらず)強いですが、しかし基本的には攻撃兵器です。昨今の防御戦では、軽装甲車両などに乗った対戦車ミサイルチームが戦車の代わりを務めてくれますが、攻撃時に戦車の代役になれるような武器はまだありません。
野戦、市街戦で、戦車なしに攻撃をかけることを想像しただけで…
投稿情報: ばべる | 2007-05-24 06:37