ハ115は中島製の空冷星形エンジン。陸軍では2式1150馬力、海軍では<栄>21型とも呼ぶ。
陸軍はこのエンジンを1式戦<隼>キ-43IIや99式双軽キ-48IIに搭載した。また、海軍は零戦22型、32型、52型などに搭載した。だが第二次大戦も半ば、1943年になるとアメリカは2000hpクラスのエンジンを搭載したF6Fヘルキャットを前線に大量投入してきた。たかだが1100hpクラスの戦闘機では、立ち向かうのはあまりにも難しかった。
陸軍は1900hpクラスの4式戦<疾風>や1500hpクラスの5式戦を、そして海軍は1900hpクラスの<紫電改>を戦力化したが、その生産数は不足していた。
結局終戦まで、ハ115を搭載した機体は生産を続けられた。おそらく最後に搭載された機体は中島キ115<剣>(陸軍呼称・海軍では<藤花>)。特攻専用機である(当初計画では違ったとする証言もある)。キ115の飛行性能は劣悪で、実戦に用いられることはなかった。
自分たちのエンジンでは、そんな「あがき」しか出来ぬと知りながら生産を続けた人々の想いはどのようなものであったろうか。絶望に苛まれながら、無駄に終わるであろう努力を続けたのだろうか。
そんな人々よりははるかに小さな努力、はるかに小さな「あがき」ということで、応用プログラム(ビリーバンド付き)。こっちは頑張ればエンジン自体をでかくできるはず、なんだよな。
>そんな「あがき」しか出来ぬと知りながら生産を続けた人々
その人たちの大部分は、小銃を握り締めてニューギニアやフィリピンの最前線に送られ、あるいは雷撃された輸送船と運命を共に…
職人的暗黙知によって構成されている工業生産システムに空いた穴は、急遽動員された女学生で埋めることはできない…
投稿情報: ばべる | 2007-06-09 22:44
ところでP-51もBf-109もマーリン・スピットファイアもYak-9も1500馬力級だったわけで、突き詰めれば馬力の大小だけではなく生産性、信頼性、整備性などをひっくるめたエンジンの総合性能と、機体とエンジンの最適な組み合わせを追及する長期的なビジョンの有無が優劣を決したと言えるのでしょう。
投稿情報: ばべる | 2007-06-10 14:20