SdKfz186は<ヤークトティーガー>。第二次世界大戦末期の重駆逐戦車だ。主砲は55口径12.712.8cm。重量は実に70トン。まさに怪物だ。
<ティーガー>2を30cmほど延長した車体の中央に大型の固定戦闘室を設け、その前面から長大な砲を突きだしたその姿は、見る者すべてに畏怖を感じさせたことだろう。
だが同時に、ドイツの焦りもまた現れていたように思える。
たしかに、大きすぎてヤクトパンターのような形態はとれなかったろう。だが、<エレファント>のようにエンジンを車体中央に移すべきではなかったろうか?
<エレファント>にせよ<ナースホルン>にせよ、ベースとなった車体に一回り大きな砲を搭載する際には、戦闘室を車体後部へ移すという手法がとられている。<ヤークトティーガー>の場合は車体の延長までおこなっているのだから、戦闘室配置の変更もあわせて検討できたのではないか。そうすれば全体の重量バランスも平準化でき、全長も抑えられただろう。
それすらできぬままに、桁外れの重駆逐戦車を開発・生産させるという選択には、焦りがにじんでいるように思われる。
まー、わしは焦らずこつこつやりたいね、ってことで今日は最終プログラム(ビリーバンド使用)。無理はせず、極端な偏りは示さずに、確実に。
07/10/06追記:記述に誤りがあったので修正。ばべる様ありがとうございます。
戦闘室を後方に置く案も提出されたのだけれども、既存のティーガー2のラインからの転換が容易だという陸軍の判断からシャーシ延長+戦闘室中央案が採用されたのですよ。
まあいずれの案にしても、歩兵部隊に劣る機動力の問題はどうしようもなかったのですが…
投稿情報: ばべる | 2007-10-06 00:21
あと、些細なことですが備砲口径は12.8cmですね
投稿情報: ばべる | 2007-10-06 05:20
>ラインからの転換が容易
そこですよね。
これほど大型のAFVですから、ずいぶん影響は大きかったのではないかと思われます。
・無理な開発にリソースを投入せず、せっせと<ティーガー>2を生産する
・どうせ転換をしなければいけないのなら、戦闘室も後方に移すなど徹底する
のいずれかだと思うんですよ。普通は前者だろうと考えますが。
>12.8
あ…まことに申し訳ありません。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2007-10-06 06:24
訂正
ティーガー2とヤクトティーガーは並行して開発されたので「既存のライン」という書き方は間違いでした。
「ラインの転換が容易」→「ラインの一本化が容易」ということで。
>のいずれかだと思うんですよ。普通は前者だろうと考えますが。
用兵側と造兵側との調整の問題ですね。
ヤクトティーガーは中央のアイディアではなく、現場からの強い要求によって設計された車体なので、特にこの問題が顕著だったと考えます。
ところで本車の開発計画への着手が、シュペーアとグデーリアンのコンビによる大々的な合理化の始まりと重なっているのは興味深いところです。
投稿情報: ばべる | 2007-10-06 21:04