EeePCのヒット以来、小型低価格ノートPCがちょっと盛り上がっているようだ。
個人的には「フルスペックでないアイテムを活用する」というシチュエーションが好きなので、興味は抱いている。だが、そういうアイテムはよく考えないと「帯に短したすきに長し」で無駄になりかねない。
てなわけで、自分の考えをまとめるためちょっとメモ。なお、諸外国の事情はよく知らないので無視する(本当はLinuxなどの影響も考えるべきなんだろうけど)。
○市場に現れた理由
- Windows Vistaの普及が遅く、結果として比較的スペックの低いハードでも使えるOS(Windows XP)が市場に残った
- Windowsが社会全体(お役所や会社を含む)に普及したおかげで「Windowsがあればできること(楽しめること)」が極めて増えた
- 小型液晶を利用する製品(携帯電話やパチンコなど)が増え、量産効果によりコストが安くなった
- ノートPCと携帯電話の普及で「モバイル機器があれば便利だ」とのコンセンサスが得やすくなった
○メリット
- 標準的なPCと同じドキュメント(コンテンツ)を、同じアプリケーション(ツール)で利用できる
- スマートフォンと同等の価格で購入できる
- さまざまな機能を低いレベルに抑えた結果、重量は高価格なミニノートPCと同等
○デメリット
- 標準的なノートPCよりも基本的機能(画面サイズ、CPUパワー、描画能力など)で大幅に劣る
- スマートフォンと比較して稼働時間がかなり短い
- 待機状態から稼働状態への移行はスマートフォンと比較にならないほど遅い
- どう頑張ってもポケットには入らない
○所感
- 現行の製品はいずれも「フツーの人」が使う製品としてはあまりにピーキーであり、大規模な普及は考えにくい
- だがもしMSが低スペックPC向けOSに本腰を入れ(XP延命とか)、かつハードメーカーの協力を得られれば、新たな市場として定着するかもしれない(たぶんその時は、メインの価格は9万台になる)
- Atom搭載機器がそのあたりになるかは、まだわからない(いろいろ制限ありそうだし)
- 「Macがあればできること」をしたい人はどうせすでにノート型Macを持っているので、わざわざ開発してもまず売れないだろう
- Mac OS Xはスリープからの復帰が早いので、本当はとても向いているのだが(でもジョブズは『ならiPhoneかiPod touchを買え』って言うだろう)
潜在的ライバルは携帯なのが判りきっているので携帯では逆立ちしても出来ないことをアピールしないとシェア拡大は難しい。携帯を圧倒するフルスペックノートだと価格メリットが失われる、この辺が低価格ハードのジレンマだね。アップルがipodをitunesとセットで売ったように低価格ハードで新たなサービスを提案できるかどうかが成否の分かれ目だな。
投稿情報: まつもと | 2008-05-25 15:25