ダライ・ラマが大地震の被災者に哀悼の意 - 国際ニュース : nikkansports.com:より引用。
チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世は13日、中国・四川大地震の被災者に対し「深い同情と心からの哀悼の意を伝えたい。地震で命を失った人々や負傷者のため祈りをささげる」とのメッセージを発表した。
ダライ・ラマはその気になれば日本やアメリカよりも早く声明を述べられたはずだ。彼が今回のような声明を発表すれば、中国政府がよく口にする「ダライ・ラマら反乱分子が暴動を扇動している」という主張が誤りであることを世界に示せる。また、チベット側による人道への配慮をアピールすることによって、その後の国際世論をより味方につけやすくなる。
にもかかわらずなぜ、声明は今頃になったのか。
チベットと中国が「国境」を接しているのは、北からシンチャンウイグル自治区、青海省、四川省、雲南省だ。シンチャンウイグル自治区とチベットとの間には巨大なクンルン山脈が横たわっている。また、雲南省とチベットとの間にはホントワン山脈が広がっている。つまりいずれも、兵站線としては期待しがたい。
そしてここで、四川省の交通網が寸断された。残るは青海省だ。青海省のゴルムドからラサは青蔵鉄道で結ばれたばかりだが、その区間のうち960kmは海抜4000m以上、おまけに550kmもが凍土地帯だ。破壊工作が行われた場合、復旧は容易ではない。
そして中国は多くの将兵を四川省の復旧作業に投入せざるを得ない。
さらに北京オリンピックは目前に迫っており、さすがに手荒なまねはしづらい。
先の争乱鎮圧以来、欧米の民心がチベット寄りになっているのは言わずもがな。
つまり、チベットが反旗を翻すにはこれほどの好機はない。少なくとも、チベットで弾圧に苦しめられている人々は十分そう考え得るはずだ。
おそらくダライ・ラマのもとには、なんらかの形で反乱計画につき打診があったのだろう。そのような状況下で不用意に中国への同情を示せば、ダライ・ラマはチベット人の支持を失い、現地チベットでの暴発を招きかねない。また、声明を出した後で現地チベット人らが反乱をおこせば、ダライ・ラマは対外的代表としての権威を失いかねない。いずれも、ダライ・ラマにとって(そしておそらくはチベットそのものにとって)致命的だ。
それゆえ、ダライ・ラマは理を尽くして同胞らを説得したのではないか。そしてようやくに今日、声明を出すに至ったのではないだろうか。
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