冷戦華やかかりしころ、砲の口径がXcmなら最大射程はおおむねXkmだった。もちろんこれは有効射程とは違うし、例外も少なくない。RAP弾などが使われれば大きく異なる。
だが通常の砲弾(弾丸)ならばたいてい、重機関銃から艦砲に至るまでこの基準をあてはめることができた。
ところが昨今は、それを大幅に超える兵器が目立つ。なかには発射すると高々度からの落下速度を利用して滑空する変態砲弾もあるから、こっちは違って当然だ。また、自走砲などは長砲身化が進んでいるので、こちらもまた射程が延伸されても無理はない。
だが、どうもそれだけではないように見える。これほどの長射程化が進んでいるのはなぜなのだろう。
火薬の組成になにか変化があったのか。あるいは、燃焼シミュレーション技術が進んだのだろうか。
わしのようにぬるい軍ヲタとしては、首を傾げるばかりだ。
榴弾砲の物理的な最大射程は口径と装薬量でだいたい決まりますが、大戦後の冶金学や化学の長足な進歩も、これらの関係を「劇的に」と呼べるほどまでには変えてはいないと思われます。
155mm砲で実例を挙げますと
M40ロングトム(1944年) 45口径 23.5km
バンドカノン(1966年) 50口径 25.6km
M109A1(1970年) 33口径 18.1km
GCT(1977年) 39口径 21.2km
パルマリア(1982年) 41口径 24.7km
AS90ブレイブハート(1989年) 39口径 24.7km
M109A6パラディン(1990年) 39口径 23.5km
同砲身長での最大射程の延伸には、発射エネルギーの増大に耐える閉鎖機構の改良が重要だと言われています。
現代の榴弾砲が一時代前の砲と比べものにならないほど進歩しているのは、むしろ発射速度、射撃統制、機動力、サバイバビリティ等です。
投稿情報: ばべる | 2008-09-11 13:31