M549A1はアメリカの砲弾。口径が155mmのRAP弾だ。おもに、M109自走榴弾砲などで用いられる。
RAPは「ロケット補助推進弾」の頭文字をとった略語で「ラップ」と読む。通常の砲弾が装薬の爆発力のみで飛行するのに対し、RAP弾では弾底部のロケットによりさらなる推進力を得る。これにより射程を3割ほども延伸できる。射程の長さは砲兵が頼みとするところであり、運用面でのプラスは大きい。
だが、ロケットによる補助はデメリットも生む。本来炸薬が入るべきスペースをロケットが食ってしまうため、通常の榴弾よりも威力に劣る。また、湿気など環境の影響を受けやすくなるので信頼性が低下し、不確定要素が増えることによって命中精度は落ちる。
また、価格も大きく跳ね上がる。昨今の兵器が目の飛び出るような価格であることを考えれば疑問を感じる方もあろうが、榴弾はやはり「戦いは数」という局面でもその能力を発揮しなければならない。すべての戦いが「スマート」とはいかないものなのだ。
なお、RAP弾と通常砲弾の中間的存在として、ベースブリード弾がある。こちらの構造はRAP弾に近いが、推進力による延伸よりも、弾底部での渦流発生を抑えることで射程を伸ばそうとしている。デメリットはRAP 弾より小さいが、同時にメリットもRAP弾より小さくなる。
どんなことでも一長一短、パーフェクトな回答というのはなかなか得られないものだな、などと思いつつ今日はTAEBO T3 トランスフォーメーション(エクスプレス)。
ま、短所しか目につかないものも世の中にはあるけどさ…ワシとかね。
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