1996年5月11日、バリュージェット航空592便(ダグラスDC-9)がフロリダ州の大湿地帯(エバーグレーズ)に墜落した。
乗員乗客あわせて110名全員が犠牲となり、事故機も粉々に砕け散った。
当初、事故原因は機体の老朽化とする見方もあったが、事実ではなかった。
バリュージェット社はいわゆる格安航空会社で、無資格の者に検査させるなど違法整備も日常茶飯事だった。驚くべき事に、自社による乗員訓練は一切なかったという。
事故機客室内で火災が発見されたとき、機長らとの通話に用いるべきインターフォンは使用不能だった。故障はわかっていたのだが、その修理は持ち越されたままだったのだ。
さらに経験の乏しい客室乗務員が操縦室の扉を開き、機長らも煙を吸って意識を喪失、墜落に至った。
そもそもの火災の原因も、本来輸送には許可を要する酸素ボンベを違法に積載し、しかも誤作動防止用カバー取り付けの義務まで怠っていたがためだった。
それまで「規制緩和の成功例」とされていたバリュージェット社はこの事故で信頼を失い、他社との合併を余儀なくされた。
世の中恐ろしいことがあるものだ、などと思いつつ、今日はエリートのミッション1。
「合理化」とか「無駄を省く」という言葉は容易いが、得てして必要なことすら見落としてしまうことも少なくない。
ま、わしのように不合理ばかり無駄ばかりの者がそんなこと言っても説得力ないよな。
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