DD-963<スプルーアンス>は米海軍の駆逐艦。同級の一番艦にあたる。
WW2型駆逐艦を改装・延命しながら使い続けていた米海軍にとって、新時代を切り開く艦であった。
<スプルーアンス>級はLM2500を4基搭載したオールガスタービン艦で、COGAG方式(巡航時は2基、高速時は4基のガスタービンで推進)を採用していた。 このため吸排気口が大きく、静粛性重視の方針と相まって船体は大型化した。
また、将来余裕を重視した設計となっており、巨体の割に127mm砲2門、アスロック1基、シースパロー1基、ハープーン2基、短魚雷2基とバランスは良いがそれほど以前の艦艇と変わらぬ兵装だった。就役当時は「偽装して核弾道弾でも搭載しているのではないか」などと口にする人もあったと記憶している。
また一括調達方式が導入され、同型艦31隻すべてをリットン・インガルスが建造を受注している。ただこの方式は、他社の経営悪化を招いたり、発注の集中によるコストアップ、納期遅延などの弊害があったようで、以後は採用されていないようだ。
大きめの船体が活かされ、ミサイル駆逐艦<キッド>級やイージス巡洋艦<タイコンデロガ>級のような派生型を生み出している。
しかしながら、将来余裕を活かして長期間運用し、ライフサイクルコストを下げるという構想自体は中途半端に終わったようだ。トマホーク巡航ミサイルの搭載やアスロック発射機のVLSへの更新といった改良は逐次進められたが、冷戦終結やステルス性への注目といった時代の流れには勝てなかった。2005年にはすべてが退役している。
機能を絞ったローコスト艦としてほぼ同時期に開発・建造された<オリバー・ハザード・ペリー>級ミサイルフリゲイトは今日もなお現役にあり、対照的と言える。
わしがミリオタになったころには「理想の水上艦」だったなあ、などとじじくさく懐古しつつ、今日はエリートのミッション1。持つべき余裕、不要な余裕。それを見極めることは難しいね。
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