Yahooニュースより。ばべる様経由。
日本が導入する高速輸送艦は、海上自衛隊が保有する最大艦艇の補給艦「ましゅう型」(一三、五〇〇トン)を上回る大型艦を想定。甲板ではヘリコプターのほか、偵察機などの航空機の離着陸も可能にするが、攻撃型の空母とは運用も装備も異なっている。
政府は早ければ、平成十九年度予算にも研究費を盛り込み、二十年度から建造などに着手したい意向だが、コスト面で新規購入は困難との見方もある。このため、来月に東京−小笠原・父島間で就航を予定しながら、東京都が導入を事実上断念した超高速船「テクノスーパーライナー」(TSL、一四、五〇〇トン)を改造、転用する案も浮上している。
ええと、どう解釈すべきなんだろ。とりあえず、思いつく疑問点を列挙。
- 離島防衛が目的なら、守備隊配置や既存基地防衛力強化のほうが先じゃないか?
- 偵察機ってなんだ? UAV国産目的の言い訳? 将来の空母保有に向けて、艦上での航空機運用実績を積みたい?
- TSLはガスタービンで船体を浮かせるから、積載重量が大きいと問題が多発するんじゃないか?
- その任務だったら、キティホークかJFKを一部乗員ごとリースしたほうが早くない?
従来の自衛隊の方針との乖離っぷりから、明らかに米軍トランスフォーメーションの一部として、太平洋軍の作戦行動を支援するのが主目的の計画であることが分かります。
海軍のHSV(高速輸送艦)ないし陸軍のTSV(戦域補給艦)の概念に倣うものですが、規模と行動半径
からして大型のHSVに属するものでしょう。
計画中の米大型ウェーブピアサーHSVは兵員1700名、車輌118輌、ヘリ14機の搭載が可能とされていますが、TSLの船体はこれをさらに上回っています。
ご指摘の通り、TSLのペイロード性能は排水量型船舶のそれに比べて相当悪いようですが(総トン数あたり載貨重量トン数は客船の半分、RoRo船の4分の1に過ぎない…ちなみにピアサーはRoRo船並)、これは図体の大きさで補ってしまうと。
ところでメーカーのインキャット社も、固定翼機数機の運用可能なピアサー軽空母を提案しています。
ttp://www.incat.com.au/defence.cgi?task=HSV
固定翼戦闘用機の運用は論外としても、おっしゃる通り、記事にある「偵察機など」が何を指すものかは分かりません。輸送する侵攻部隊にUAVのカバーが必要と言うのであれば、例えばもしも先島諸島が戦域になったとすると、この艦でまずプレデターなりグローバル・ホークなりの運用チームと機材・物資を後方の島に揚陸展開させてやれば済むことです。まさか海軍用のVTOL型UAVを別途購入するという意味ではないと思いますが。
いずれにせよ船体の「新規購入は困難」と言われているところから、TSL改造案が潰れた場合は、たぶん米軍と同じくインキャットからピアサーをリースすることになるのではないかと予想されます。
投稿情報: ばべる | 2005-10-23 12:24
私見では、TSLのペイロード性能の悪さを考えれば、これは廃棄してピアサーをリースするのがよろしいように思われます。
TSLは余りにも、軍用としてさえ費用対効果が悪すぎる輸送手段であると言わざるを得ません。もし最大速力80ktを発揮できる(つまりピアサーに対して明白に速力性能で優位に立てる)のであれば、艦船と航空機を繋ぐ輸送手段として存在理由を主張できるのでしょうが(WIGのような)。
投稿情報: ばべる | 2005-10-23 12:27
勝手な想像ですが、すでに根回しは済んでいそうな気がします。
国土交通省の顔を立てるために、TSL改装でいくんじゃないですかね。
で、今後海上保安庁との協調などにおいて自衛隊側の言い分を聞いてもらおうと。
高速輸送艦の二隻目以降は、おっしゃるとおりウェーブピアサーのほうがいいでしょうね。でもそっちは、造船業の皆さんに喜んでもらうためにライセンス料払って国内で建造するんじゃないでしょうか。
いかにも日本的な調整で、実にいやな感じですけど。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2005-10-23 14:15
あえてTSLを軍用転換すると言うのであれば、「かさばるけれども軽いもの」を積むのがベストの使い方ですねえ。
かさばるけれども軽いもの……航空機。人間。
あれ?なんだ正しいじゃん(笑
防衛庁の人たちが相当頭を搾った形跡が記事から…
投稿情報: ばべる | 2005-10-23 14:33