M388<デイビー・クロケット>は戦術核兵器。W54核弾頭を外装式に無反動砲に装填し、発射する。無反動砲には二つの口径が用意され、102mmでは射程が2km、155mmでは4kmと短かった。核弾頭の出力はわずか20tと「核兵器としては」極めて小さい。
兵士3名での運用が可能で、無反動砲は簡単な三脚で設置されることとなっていた。
冷戦中には西ドイツ駐留の米軍に配備され、ワルシャワ条約機構軍ににらみをきかせていた。
なんというか、無茶な兵器だ。さすがに平時からほいほい展開はさせていなかったろうが、有事(またはその危険性が高い時)にはわずか3名の兵士に核のコントロールを委ねるというのだから。
戦略核ミサイルの発射には厳密な制限が課せられているが、ジープに乗ってどこかに出かけた兵士らをそんなふうに制約できる訳もない。今日だったら誰もが、テロリストの手に落ちることを恐れて、実用化を拒むだろう。
まあリスクってのは状況次第だよな、などと思いつつ今日はTAEBO実践編1。
たぶん50年代のアメリカと西欧はまだ価値観的に一枚岩で、誰もが鉄のカーテンの向こうをなによりも恐怖していたのだろう。輪郭のはっきりしない「テロリスト」よりも、赤軍こそが対処すべきリスクだったのだろう。思えば冷戦が終わるまでは、民族問題が表面化することなんて少なかったしなあ。
最近はメタボ云々と騒がしいが、そちらのリスクはビリーのおかげで回避できている。我が人生におけるリスクの数は確実に減っているはずだが、他のリスクが怖くて怖くて。
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